« 突っ張ることが男の… | トップページ | 掃除するときは »

Nさんの手紙

最近にしては珍しい、手書きの封書が届いた。
「千葉のNさん…誰だろう?」
それがグアムのNさんだと気づくまでには、ちょっと時間を要した。
昨年の11月に仕事で3日間滞在した、某日系ホテルのスタッフである。
Nさん、12月で日本に帰任なさったのだ。

ある会社の慰安旅行だったのだが、社長が超ワンマン、社員は20代中心の体育会系。社長の言葉は絶対という社風。
出発前には滞在中の予定は一切決まっておらず、社長がその時の気分でオーダーしてくるので、即座に手配しなくてはいけない、という注意書き付だった。

噂通り、到着後社長のスィートルームに全員集まってそこで「今夜は中華、翌日はマリンスポーツ」の依頼があった。
社長がそこの中華がご贔屓らしいのだが、約20人分の中華(しかもアラカルト)の急な手配を快く引き受けてくれたのが、Nさんだった。
「2年前にもいらっしゃって、よく存じ上げております」と。

中華は好評だったが、その最中に「この後はカラオケ。明朝7時からテニス大会」という話になった。
ホテルにはカラオケは無いので、外の店になんとか依頼、テニスコートも時間外だがホテルに了解を取った。
その夜はカラオケ~ラーメンで〆て、ようやく12時過ぎにホテルに戻った。それからマッサージ!という依頼もあったが。(ほんとにグアムかぁ?)

翌朝は7時からのテニスに合わせてラケットやシューズを手配。そしてビーチアクティビティーセンターに向かった。
ところがようやくゆっくりできると思った矢先、最初のジェットスキーで社長が「気に入らない!」と一言。急遽全員ホテルに戻ることになった。お昼のお弁当を待つ間もなく、バスを特別チャーター。しかし弁当は欲しい、と私が用意できるまで待ってお弁当を受け取らなくてはいけなくなった。
気分を害したお客様達をまともにケアすることもできずに、私は帰るお客様を見送り。ホテルのNさんに連絡をして後の対応をお願いした。

そもそもNさんは我々の担当ではない。たまたま宴会担当だったのと2年前に面識があったというだけの関係だ。
しかしNさんは快く引き受けて下さった。そして私がお弁当と共にホテルのビーチに戻ったときには、社長も穏やかな表情でシュノーケリングを楽しんでいた。(ビーチグッズの手配もNさんがやって下さった)

他にも(急に)お世話になること数知れず。わずか3日間の滞在ながら、その実とても濃い3日間だった。
いろいろ無理を聞いて頂きながら、いろいろな話をスタッフの方々と交わした。

仮にも現在のサービス業10年、またその前に勤めていた会社もCS(もう死語?)には力を入れていたので、自分としてはホスピタリティに関して、少なからず自信を持っていたつもりだった。
しかし、わずか3日間で私の自信は完全に打ち砕かれた。「目からウロコ」の連続だったのだ。今回のような難しいお客様をもリピーターとしてしまうのだから。

ホテルの顧問の方ともお話させて頂いた。日本の老舗ホテル創業時からこの道一筋に生きてこられた方である。
日本でもホスピタリティー超一流で知られるこのホテルの、サービスの真髄を教わった気がした。

帰国時、グアムの空でも海でもなく、スタッフの人達との別れがこれほど寂しいと思ったことは、これまでなかった。

その後、顧問が退任される3月までにもう一度(個人で)行きたい!と思いつつも、実現の兆しも見えないまま新しい年を迎えたのだが、まさかこの「片思い」のホテルの方からお手紙を戴くとは思ってもみなかった。
胸がドキドキしてしまったほど。

これも超一流のホテルサービスなのだろうか?

|

« 突っ張ることが男の… | トップページ | 掃除するときは »

「旅と心と体」カテゴリの記事

コメント

すごい! 「人に尽くす」というのは、ここまで極められるものなんだ。
日頃、自分が使っている「人様のためになる」という言葉のなんと軽いことよ。恥ずかしくて口にできなくなりそうだ...

投稿: ichi | 2004.02.07 16:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11005/117294

この記事へのトラックバック一覧です: Nさんの手紙:

« 突っ張ることが男の… | トップページ | 掃除するときは »