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Right or Left?

前述の「ライト」or「レフト」の話で、思い出したことを…

添乗の仕事を始めて間もない、まだヨーロッパの添乗が5回目、という頃のお話です。
「ローマ6日間」という優待旅行が、当時我社の稼ぎ頭ツアーでした。英国航空&4つ星ホテル利用で69,800円という破格値が大当たりし、私達は毎回毎回100名~300名のお客様をローマにご案内していたのです。

その最初に私が担当したツアーは「ローマ+パリ3日付(OP)」ツアー。
最初のツアーで、生涯忘れもしない、とんでもないことがおこりました。
以前自分のページに書いたものを、編集して再記します。

ローマは大変だったが、まだよかった。一応予定通りにスケジュールが消化できたから・・・ 
当時パリは、いつ終わるともわからない、また何がストを始めるかわからないという前代未聞の大ストライキの最中。覚悟はしていたものの、想像以上のトラブルが起こった。
まずローマからパリへ向かう飛行機に乗ろうとしたら、搭乗時刻になって「パリの管制塔のストが始まり、いつ出発できるかわからない」とのこと。午後4時出発の予定が、離陸したのが午後11時、パリに到着したのが午前1時だった。
このコースでは、パリ到着後、市内のレストランで夕食をとる事になっていたが、この時間ではキャンセルよね・・・と思いきや、お客様の要望で食べる事に 。レストランは親切にも、開けて待っていてくれた。お客様は「やっと着いた」という安堵感からか妙にハイになり、真夜中にも拘わらずワインを飲んで陽気に楽しんでおられた。結果的にホテルチェックインは午前4時。    

さて、パリはストの真最中なので道路は大渋滞、通勤者は片道平均2時間かけて歩いてやってきていた。こんな状態のなかでも、観光地パリは旅行者には最大限のサービスをしてくれた。ストの影響で係員が揃わず、やむを得ず閉館する美術館などが多い中、運良く私たちは予定通りの観光を楽しむ事ができたのである。    

そして、いよいよパリを発つという朝、最悪の事態が起きた。
BAから朝1番、私に電話がかかった。
「空港のストにより、飛行機が全便キャンセル。あなたたちは翌日の成田行きを手配してあげたから、自力でロンドンまで来て下さい」というのだ。
格安ツアーだったから、こういう時の対応は最悪。翌日の便を取ってもらえただけでもありがたいと思いなさい、というわけ。
急いでロンドンとパリのオフィスに連絡をとったが、ロンドンの担当者はまだベッドの中(1時間遅れ)らしく要領を得ない。そしてパリの担当者は、
「わかりました。事情はよくわかりましたが、実は僕、今歩いているんです。これからオフィスまであと2時間ほどかかってしまいますので、もう少しお待ち下さい。」

騒然とするお客様を何とかなだめ(大変だった(;_;)、バスでドーバー海峡の港町カレーに向かった。 お客様はもちろん、私だってお先真っ暗状態。途方に暮れていたが、とにかく走るしかない。夕刻に渡ったドーバー海峡のフェリーの中で、ようやく今夜の宿泊を確保できた。
イギリス側の街ドーバーは、石灰石でできた真っ白い岩肌やドーバーキャッスルで有名な観光地でもある。もちろん私は初めての地だったが、「そんなことを以前聞いたな・・・」程度で、知ったかぶりをしてお客様に説明、夕闇迫るイギリスの街をひたすら走った。  

宿泊先はロンドン郊外のマナーハウス。しかし、私も初めてならばドライバーも初めての土地。案の定道に迷ってしまった。
山中のガソリンスタンドで道を尋ねたが、ドライバーは英語が全くわからない。「右」「左」という単語さえもわからないのだ!!なんと私が間に入って、おじさんの説明で「Turn left」といえば左手を上げて、というように身振り手振りで通訳をするはめになった。
夜の田舎道をひた走る私たちのバス。けれどもイギリスの素朴な町並は、静かに私達の行く道を照らしてくれていた。丁度クリスマスも近く、それぞれの家や街中の飾りが本当に素朴で美しかった。それだけが心の救いだった。

ようやくたどり着いたホテルは、こじんまりとしていたが、とっても暖かいおもてなしを受けた。突然の団体客にかなり戸惑ったことだろうが、始めは「サンドイッチしかない」と言われていた夕食も、後では煮込み料理などを出してくれ、心がとっても暖かくなった。 

実はこのホテルに到着し部屋に入ったとき、私の顔が恐ろしいほどやつれて引きつっていた(鏡を見てびっくりした!)。人間、ここまで顔が変わるモンなんだ…と改めてこんな顔をお客様に見せていた自分が恥ずかしくなった。
幸いにも、翌日にはなんとか普通の顔に戻っていたけど。   

翌朝は白い雪に覆われて一面の銀世界。お客様はやっと帰れるという安堵感と、美しい朝日を浴びた田舎の雪景色に感動され、みんなで記念写真を撮りまくっていた。
ロンドンから迎えに来てくれたバスとアシスタントに出会い、ようやく帰れる、そんな気持ちになることができた。そんなこんなで、私達は一日遅れでようやく帰国することができたのである。 

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