コロンバスという街
私が20日間住んでいた(?)街です。
アメリカの中西部、オハイオ州の州都コロンバス。「Center of Ohio」とオハイオの放送局は言うけれど、この街の存在を知っている人はどの位いるだろう?
私も出発の3日前まで知りませんでした(笑)。
オハイオ州は、北にエリー湖を従え、湖岸に発達した鉄の街クリーブランド、そして南にはノースウエスト航空がハブ空港として利用する街シンシナティがある。しかし中心の州都に何があるのか?と問うても、地元の人も首をかしげるに違いないほど、何も無い街なのである。
画像の姿は、ダウンタウン。ほんの一部、ここだけに高層ビルが立ち並ぶ。画像に映っている以外に高層ビルは無い、と言い切ってもよいほど。
具体的な数値や情報はここを見ていただければわかるけど、ここの第一声も「ご存知ですか?」。
しかし、実はコロンバスに住んでいる日本人は意外に多い。
近郊に本田技研工業のオハイオ工場があるためで、街には日本食レストラン、日本食材店、はたまた合気道道場まで、日本に関するものは豊富にある。地元のスーパーでさえラーメンや醤油、寿司はあたりまえ、「めんつゆ」まで売っている。
私が滞在したのは、西北部のダブリンという街の長期滞在者用のホテルだが、巨大な冷蔵庫やオーブン、電子レンジまで付いた部屋、そして車で5分も走ると24時間営業の巨大スーパーが数箇所ある、というほど「モノ」には困らなかった街だった。
けれども、このスーパーの間にも広い草原があって、牛の群れているところがある。道路を鴨の群れが横断していく。生徒のホームステイ先の民家の庭には、リスやウサギ、鹿までが走り回り、夜には蛍が飛び回る。そんなギャップを毎日眺めながら通勤していた。
イギリス人、ドイツ人が入植して築いた街らしく、森の木立に佇む民家の塀は英国調、街には「ジャーマンビレッジ」という一帯がお洒落な一角を形成している。木立の間から垣間見える邸宅を眺めていると、どの家も四季の花々に囲まれ、思わず溜息が出てしまう。こんな環境で暮らしていたら、どれほどゆったりとした気分になれるだろう?
ここで育った子供達は、どれほどのびのびと豊かな心がもてるだろう? そこにはきっと「競争」という意識はありえないだろう。
ホームステイをボランティアで引き受けた家族達、そして貴重な夏休みを、日本から来た高校生のために、毎日一緒に遊び勉強し励ましてくれたボランティアの子供達。
安全を、総てをお金で買う国アメリカ、と教えられてきたはずのこの国で、こんなボランティア精神もしっかり根付いていることに改めて驚かされると共に、こうした精神が育つ土壌というのも、しっかり目の当たりにしてきた気分だった。
街の周りを環状線が囲み、町の中心から四方八方へと国道が広がっていく。気がつくと120km/h以上のスピードで走っていた位快適な自動車専用道路だが、90%以上が無料。僅かに存在する有料道路も、1回が50セントほどの安さ。ナイアガラやニューヨーク、ワシントンDCへも車で8時間程度で行ける、という立地の良さも手伝って、週末には多くの車が外に出て行く。
画像の下に映っているのは、野外で行われたジャズ・フェスティバル。
週末になると、街のあちこちで野外のコンサートやシェークスピアの演劇などが行われ、多くが無料で楽しめる。
ジャズ・フェスタは「リブステーキを食べながら」というのが売りらしく、屋台のリブコンテストや、キャンプしながら自前のリブをほうばる家族達の姿もあった。
こんな優雅で豊かな街コロンバスだが、一方で地元のニュースが毎日のように銃殺事件を扱っている。
事件は限られた場所だけだ、と人々は気にもしないが、やはり私には銃社会の抱える脅威も無視できない現実だと思えてならない。
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