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おばちゃん、マウイで踊る(3)

翌日はホノルルへ移動。今度はロスバゲが出ないように、添乗員の淳クンがホノルルの空港で荷物チェックをすることになった。大会の終わったおばちゃん達はまるで緊張の糸が切れた(もともとあったようには見えないが)かのように、ますます元気になり、もう後はふつ~のおばちゃんパワーを爆発させている。おかげでマウイで飛行機に乗り遅れるところだった。おばちゃんにとっては、あとはお土産を買いたい、それだけなのだ。だから店さえあれば、勝手にふら~っと立ち寄ってしまう。

ホノルルではお決まりの昼食バイキングの後、市内観光へと向かった。晴天の市内とは逆に、ヌアヌパリの展望台では相変わらず天気が悪い。今回は細かい雨が降っていた。しかし私達はお決まりの写真撮影を敢行、文句を言われながらも殆どが来てくれて、「こちらはガイドさんと添乗員が写ってますよ~」の宣伝が効いたのか?殆どの人が写真を買ってくれた。写真の売り上げは東海支部がNo1なのだ!!

oba.jpg東海支部はこの日の夜、先生の一存で全員がサンセットディナークルーズに参加する事になった。おかげで同行するはめになり(出発の10分前に「行け~!」と言われた)、部屋にも寄らず出かける事になった。  
おばちゃん達は市内観光で寄ったムームーの店で、またまたムームーを買い込んで、恐ろしいまでのムームー軍団になっている。  
サンセットクルーズは1600人乗りの大型船で、私達のグループは総勢180名で参加した。こちらはロブスター&ステーキディナーで、今回唯一のコースメニューだった。添乗員も同じように食べられる、嬉しい!
今回は夕日もきれいに眺められ、太陽の横には、ハワイオフで乗った帆船がとても美しいシルエットになってたたずんでいた。最近はフラダンスの後に、みんなでマカレナを踊るのが流行っているみたいだが、私は一足先に降りてバスのチェックをしなければいけなかったので、踊っている暇はない。ただ降り口で待っていたら、向こうの方でやっていたので、密かに踊ってしまった。歌って踊れる添乗員です、ハイ。  

「買い物したい」というおばちゃんのリクエストにより、希望者のみホテル途中のDFSで降ろす事になった。だがおばちゃんたちが買い物の後自力でホテルに戻るのは殆ど無理、と判断した私達は、9時半と10時半に迎えに上がるから、帰る自信のない方はその時刻に集まるように案内した。DFSの入口でも大混乱。マウイで渡したショッピングカードがそのまま通用するものの、忘れてきたおばちゃんが大半。私は「カードの無い人はこっち、カードのある人はそのままお買い物に行って下さ~い」とどなりまくっていた。バッジを付けてると羞恥心も何もなくなる。  
おばちゃんたちの手続き終了後、20分ほど時間があったので、はじめて私は買物をした。フィレンツェでとられた財布を買うためである。自慢じゃないが私の買物は早い。5分で決める。買う物が決まっているわけじゃないが、直感勝負だ。

9時半には約60名位のおばちゃんが集まった。ところが「それではこれからホテルまで歩いて帰ります」と言った瞬間、「ええ~っ?バスじゃないの~?」60名一斉のブーイング。あのね、ここまで乗ったバスはクルーズの会社のバスなの。本当はホテルだけ行ってくれたらそれで終わりなんだけど、無理をお願いしてDFSに寄ってもらったの。本当はあんたたちは自分で帰んなくちゃいけないのよーーーーー。と言いたいのを必死で我慢して、淳クンが先頭に、私が最後尾について連れて帰った。カワカウア大通りは、夜9時を過ぎると途端に怪しいお姉さんが増える。以前はこんなに多くはなかったし、お姉さんのいるところはもっと裏道だったのに、最近は大通りに、しかもABCと同じくらいたくさん群れていた。ブロンドの髪にこぼれんばかりのあふれそうなバストを揺らしながら、信号機の周りにたむろっている。そしてそんなお姉さんのカモにされているのが、殆どが日本のオヤジや若いにーちゃんだった。おぉ、またカモが歩いている、とばかり、その光景はあきらかなのに、気がつかないのかねぇ?  
そんな通りを、60名のおばちゃんがムームーを着てDFSやABCのバッグを持ってお姉さんに負けずに濶歩したのだ。そうそう頭は踊り用のダンゴそのままの人が多い。この光景想像して頂けるだろうか?  
10時半の迎えには、淳クンは雲隠れしてくれたおかげで、私一人が行くことになった。約20名のおばちゃんが待っていたが、「おばあちゃんが足を痛くして歩けない」という6人のみ、内緒でDFSのバスに乗せて帰ったが、とても全員は乗り切れないので、また歩き。そして例によってまたブーイングの嵐を一人で受けた。中には「お弟子さんへの土産に化粧セット60個以上買った、というおばちゃん、いや先生もいて、とても一人では運べないABCのバッグを抱えていたので、仕方なく私が持って帰ることになってしまった。ホテルに着いたのが11時、ああ、やっと部屋に入れる。3時にチェックインしたのに、今まで入れなかったのだった。

部屋に入ってもまだ仕事があった。他の支店から出発前に頼まれた仕事で、ハワイから絵葉書を送るのだ。切手を137枚買って、1枚1枚夜中に張っていたら、2時間もかかってしまった。  
やっと終わってさあ寝よう、と思ったときに電話が鳴り、「明日のオアフ島一周ツアー行ってくれ」、との指令が下った。とほほ。足痛いよう・・・
   
オアフ島ツアーはバス3台出た。約120名位かな?最初にハナウマ湾を見てグラスボートに乗る東周りのコースをとった。ハナウマ湾は相変わらず青く美しい。おばちゃん達も驚きの歓声をあげていた。実はこのツアー、私のお勧めである。オアフをぐるっと一周し、それぞれのビューポイントを眺める事ができるし、またレイを作ったり船に乗ったり、いろいろな体験もできる。レイを作ったおばちゃん達は、皆一様に頭に乗せ、そこらじゅうを歩きまわっていた。こうなるともう、カワユイ。  
ノースショアのタートルベイヒルトンで昼食を食べる。ここもバイキングだが、ここの食事はグッド。私もゆっくり味わう事ができた。食後は美しいノースショアのビーチラインを堪能。  
途中黒サンゴの店に立ちよった。店に入ってまず店員からの説明がある。普通は説明が終わるやいなやぱぁっと散らばるのだが、おばちゃんたちはショーケースに張りついていて、全く立ちのかない。見事に黒サンゴがたくさん売れたようで、出発時、店の人達から最敬礼された。  
このツアーはアリゾナ記念館にもよって、最後に「このー木何の木」で有名なモンキーポットのあるモアナルア公園に寄って終了となる。おばちゃんはもちろん、私もなんとなく晴れやかな気分で一日を過ごす事ができた。

この日の夕食は「さよならパーティー」。最後とあってみんな着飾ること!ムームーはもちろん、昼間買った黒サンゴをつけ、昼間作ったレイも健在、社交ダンスでも踊るの?といわんばかりの派手な衣装を着た人、毎日違う着物で登場のおばちゃんもいて、会場は一種独特の雰囲気だ。これがみなホテルの中も外も歩き廻っているのだ。知らない人からは、さぞ驚きのまなざしで見られているのだろう。  
ここでの夕食もやはりバイキング。私達添乗員は・・・食べられなかった。仕方なくパーティー終了後、交代でホテル隣のラーメン屋で食べた。夜11時半になっていた。

翌朝はいよいよ帰国の日。ホテルのバイキングは貸切会場なので、相変わらずのメニューの少ないバイキング。あ~あ、一度でいいからホテルのレストランでゆっくり朝ご飯を食べたいなぁ・・・なんて思っているうち、最後の朝はとうとう食べることさえできずにホテルを立ち去った。

JALの帰国便の搭乗券は名前が書いてないので、自分で書かなければならない。幸い大きな団体だと前日にチェックインできるので、搭乗券が前夜入手できた。そのため空港での混乱をさけるために、予め前の晩に名前を書いておいた。しかし書いているとすぐに眠気が襲って、なかなか進まない。途中でシャワーを浴びても効果がない。
なんとか朝早くおきて仕上げたが、なんと私達の乗る便が機材変更で、せっかく書いた搭乗券がパァになってしまった。ホノルルの空港で仕方なくあせって書き直した。本当ならお客様に書いてもらうのだが、おばちゃんで書ける人は殆どいない。 
機材変更による遅れが予想され、私達が予約している成田からのエクスプレスや新幹線の切符がこれまたパァになるかもしれない、と思い覚悟を決めたが、JALは定刻に離陸。機内に入ってほっとしたのか、確か飛行機が動き出すまで、私はうろうろしていたのに、離陸したのを覚えていない。あっというまの熟睡だった。  
帰りはお客様もさすがに疲れたとみえて、機内はシーンと静まり帰っていた。

飛行機は定時に到着しそうだったが、私にはもう一つ課題があった。「きっと帰りもおばちゃんは荷物の宅配をしたいだろう」という事だった。あれほど土産を買ったのだ、それでなくても東京駅での移動は難しい。しかし宅配場所で住所を書いていたら時間がまったく足りない。使った事はなかったが、宅急便の申込書(複写ではない)を配り、予め送り先を書いてもらった。  
成田に到着して宅急便を探し、なんとかその場で書かなくて済むように許可をもらったが、はたしてちゃんと受け付けてくれるだろうか?荷物を受け取った順番に案内し、それぞれ受け付けしてもらったが、どうやらコピーをとって対応してくれたらしく、思ったより早く終了できた。ホッ これでやっと帰れる。

おかげさまで何事もなかったように、無事予定通り静岡まで帰りつき、おばちゃんたちに、深々と頭を下げられてお別れすることができた。  
でも帰ってきて2日間、周りから「やせたねぇ」の声。ふんふん、ダイエットにはいいかもしれない、こういう添乗。
(おわり)

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