稲庭うどん
初めての出会いは、まだ私が二十歳そこそこ(数年前(笑))銀座のOLしてた頃、飲み会の後、上司に連れられて会員制のクラブに行った時。お酒の酔いも手伝って、最後に何かさっぱりしたもの…といえば普通はお茶漬けなどが出てくるものだが、ここのママさんは、稲庭うどんを出してくれた。
きりりと冷えたざるうどん、細身ながらエナメルのような輝きをもったその姿に、つゆに埋もれぬコシと咽喉ごしに大きな感動を覚えてた、その瞬間がいまだに忘れられないのである。
しかしその後、何度か稲庭うどんを見つけては、その感動を思い出す為に選んで食べていたのにもかかわらず、これほどの感動に再会したことは無かった。歳とともに感動が薄れるものなのか、本当の「美味しさ」に出会っていないのか、それさえもわからなくなっていたこの頃だった。
今回秋田に来ることになり、私の中では温泉と共に、どうしても果たしたい目的がこの稲庭うどんだった。
「好きだ」という他に、あの感動に再び巡り会うことができるかどうかの検証をしたかった、というのが本音なのだ。
まず秋田空港に到着し、名古屋から来る友達を待つ間、空港の和食店で食べてみた。
鴨南蛮のつけ麺タイプの稲庭うどん。
まあ美味しかったが、感動するほどではなかった。
翌日、田沢湖国民休暇村のレストランではオーソドックスなざるうどん。
やはり稲庭うどんはざるに限る! でも感動の言葉は浮かばなかった。
そして3日目。
乳頭温泉郷を離れて秋田市内に出てきた私達は、七代佐藤養助稲庭饂飩の店を見つけた。
「佐藤養助」さんというのは、稲庭うどんの最も有名なブランド名らしい。
しかし正直なところ、こういうブランド名を持ったり「老舗」とか「元祖」と名がついて様々なグッズが売り出されるようになると、本来の味が損なわれる場合が多く、私も実際のところあまり信用していない。
それでもこの名のついた饂飩店を見つけた時に、なぜか「食べてみよう」という気持ちになった。
そしてその勘は的中!だった。
私が食べたのは、画像にある「二味天ぷらせいろ」。
しょうゆ味と胡麻ダレ味の2種類のつゆに漬けて食べるざるうどんで、目の前に出てきた稲庭うどんは、私の想像をはるかに超えて、細身の艶やかな姿をまた見せてくれたのである。
きしめんのように威圧せず、讃岐のようにブチ切れず、三輪素麺のような可憐さをもちながらも、しっかりとしたコシの強さを併せ持ったこのうどん、まさしく稲庭うどんの真髄。
「これよ、これだよっ!!」
私、本当に感動にうちふるえながら夢中になって食べていた。
佐藤養助さん、恐れ入りましたm(__)m。
さて、この「七代佐藤養助稲庭饂飩」店、残念ながら東京には無い。
ぜひぜひ、決して東京には出さないで下さい。
この味が一般化平準化されたらたまらない。
大切に大切に、秋田の町で伝統を育み続けて下さい。
しかし何故か九州は博多に出店しているのを見つけた私、来月墓参りで帰省するのに、迷わず飛行機を福岡行きに変更したのはいうまでも無い。
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コメント
僕にとってのうどんの「これ!」は氷見うどんです(笑)
投稿: くっきも | 2005.03.05 17:29
くっきもさん、ども!
お里のうどんですね。
氷見と稲庭は、うどんのカテゴリーでは同じだそうですので、今度是非、稲庭の方もお試し下さいませ。
(秋田に行ってね!)
投稿: まりあ | 2005.03.06 10:55