好きなんです

ホワイトアスパラ。

ドイツでは春の訪れを知らせるかのように、あちこちのレストランに、このホワイトアスパラが登場する。
軒下の立て看板に、このホワイトアスパラ＝シュパーゲルのイラストが、なんとも可愛らしい。
野菜にしては破格の値段だが、あちこちでホワイトアスパラを楽しそうにつまむドイツ人達の姿が、なんとも微笑ましく映るのである。

缶詰のホワイトアスパラしか知らなかった私は、はじめあまり好きではなかった。
しかし、この茹でたてのホワイトアスパラをひとたび口にしたときには、生まれて初めての歯ざわりと、缶詰にはなかったフレッシュな味わいに、稀に見る感動を覚え、春に訪ねるたびに、時間が許す限り、この出会いを求めている。

私にとってそれほどの感動を与えてくれるホワイトアスパラ、日本ではなかなかお目にかかることがなかったが、最近近所のスーパーにフレッシュなホワイトアスパラがあるのを見つけて、思わず買って、ドイツ風の味付けにチャレンジしてみた。

自分が食べた時のようなまろやかさと味つけを思い出しながら、茹でてみるのだが、なかなか思うようにはいかない。
先日茹でた時には、外皮がなかなか柔らかくならなくて、口の中でいつまでも筋が残っていた。
「日本のアスパラだと、こうなってしまうのかな…」
と思いきや、よく見たらシールの裏側に
「外皮は固いので、ピーラーでむきましょう」
と書いてあった。通りで固いわけだ。

再びスーパーで見つけた今日、どうしてももう一度やってみたくて、気がついたら手にしていたホワイトアスパラ。
早速茹でてみた。
自分の舌が覚えている限り、ソースには溶かしたバターと少量のマヨネーズであえてみようかな、とやってみたのが、画像のソースである。
先日はバターだけでやってみたが、まろやかさに加えて少し酸味があった方が、アスパラのフレッシュさが引き出せたように思える。

ようやく季節外れの春の香が、私の口の中で広がった。