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鬼門

以前も書いたが、私は本当にミラノとパリの空港が鬼門らしい。
特に乗り継いで行くときは最悪。荷物のロスト、飛行機の遅延、そして乗り継ぎができずに延泊など、毎回何かが起こる。
トラブルはどこでも起きる。それは仕方ない。だけど異常時の対応には、いつもむっとさせられる。

今回もイタリアのツアーなのにエアフランスを利用。当然シャルルドゴール空港を利用。
出発前からいや~~な予感はしていた。
「なるべく怒らないようにしよう…」
そう思いながら、できるだけ我慢するように努めるのだが…

帰国するという日、ローマからパリを経由してAF276便で成田に帰る。
当初の予定では、ローマを朝7時の便でパリに向かう予定だったが、これだとホテル出発が午前4時。あまりに早すぎるので、午前10時の便に変更になった。
早朝出発がなくなったのは良いのだけど、心の中では私、すご~く心配していた。
パリでの乗継時間が50分しかないのだ。
到着して降機するまでの時間、空港内を移動して出国審査、セキュリティを通過してゲートにたどり着く時間、そして出発の30分前に始まるボーディング。
それを考えたら、定刻に着いたとしてもギリギリの時間である。
EU内を最後に出発する空港で行う免税手続き。これはもう、無理無理。
お客様に事情を話して、ローマで手続きを済ますようセッティングして頂いた。

ローマを10時20分に出発予定のAF1205便。
チェックインの開始が遅れて、待たされた。そしてその時から出発時刻が既に10分遅れに変更された。
や~~な予感増大。

しかし、この便はなんと、予定の10時30分にはちゃんと出発してくれた。
ローマ~パリはいつも遅れる。これまで何度も味わってきた。最高で6時間遅れ。
それが今日は予定通りに出発したのだ。
雲一つない青空のイタリア。
私の心も晴れ晴れとなった。

イタリア半島の北限にはアルプスが広がる。
天気が良ければ、4,000m級の山並みを眼下に間近で見られるのだ。これはもの凄い迫力。
おかげさまで今日もお客様と感動しながら眺めることができた。

アルプスを越えると天気は一変する。
今回もアルプスの北は雲が広がり、シャルルドゴールの空港には濃い霧が立ち込めていた。
その中を予定よりわずかに早く到着した飛行機。ここまでは良かったのだが…
降機するまでに20分以上も待たされた。あげくにゲートから遠く離れた所で停まった為、バスでの移動を強いられる。5分のアドバンテージは一瞬の内に消えうせた。

ターミナルでは「NARITA」と書いた看板を持ったスタッフが待機していた。
良かった、これでなんとか乗り継げる…
出国審査も素早く通過でき、セキュリティも待たされたけど(笑)なんとか間に合いゲートへ。

そこで私は荷物の確認を求めた。ゲートのスタッフは画面を見ながら
「まだ積まれてない。後は機内で確認しなさい。」
と言い、対応はそれきりだった。手配をしてくれる様子もない。
こういうスタッフに「メルシー」を言うのも煩わしい。私は仕方なくゲートを越えた。
ゲートから機内へはやはりバスで移動。濃霧のせいなのか、飛行機はゲートに着いていない。隣の大阪行きもやはりバスゲートだ。

バスから降りて再度スタッフに確認を求めると、
「コンピューターが無いから知らない。早く乗りなさい」と。
他のスタッフに連絡を取るでもなく、無視。しかも彼女の意地悪さは相当だった。
私が自分のお客様が降りるのを待っていると、邪魔だと言わんばかりに、私がタラップの上に上がるまで、次の乗客をバスから降ろさなかったのだ。
こんな対応信じられない。生まれて初めて見た。
私は次の乗客がバスから降り始めたのを確認して、飛行機の入口で待ったけどね、当然(笑)。

乗客が全員機内に入ったところで、私は最後の手段に出た。
入口で迎えていた日本人客室乗務員に
「お願いですから、荷物を確認して下さい。全部で11個。私たちは乗継時間が短く、ゲートでは積まれていないと言われたのです。」
と訴えたのだ。思わず声を荒げていたかもしれない。

私のひきつった顔を見て驚いたのか、彼女がようやく動いてくれた。
下にいたバゲージ担当のスタッフに声をかけ、ローマからの便を再度調べてくれることになった。

幸い飛行機は濃霧で出発が遅れた。
その間に荷物を積んでもらえた、と客室乗務員の彼女から連絡があった。
それでも届かないことはある(笑)。あとは運を天に任せるだけだ。

お客様には事情を説明して、日本へ向かった。

成田空港のバゲージクレイムで天命を静かに待つ。
最後に積まれた荷物は、普通早くに出てくる…が、なかなか我々の荷物が出てこない。
「やっぱりダメだったかなぁ…」
お客様も心配そうにターンテーブルを眺めている。

プライオリティのケースが一通り流れた後、しばらくして、お客様が預けた白い小さなスポーツバッグを持ち上げる姿が見えた。
「やった!!」
思わず私は万歳!とばかりに両手を高く挙げていた(^_^;)。
一人一人、荷物を手にするお客様の姿が見えた。

最後の1個がなかなか出てこず、不安そうな表情をしていた方がいらしたが、最後の最後にようやく出てきた。

荷物が出なくてずっと待っている人もいる中、私のお客様は全員無事、破損も盗難もなく荷物を受取ることができた。

私の仕事はここでようやく終わる。
もちろん国内線や免税返金のご案内などがあるが、それは予め決まっていることをご案内すればよいだけ。(到着が遅れたり深夜になった時は別だが)
最後の砦がこの機内預け荷物の受取なのだ。
毎回毎回この荷物に関して、我々と空港・航空会社との攻防がある。
荷物が無事到着したか、壊れていないか、カギが壊されて中身が盗まれてないか…
それは経験した人でないとわからないだろうけど。

仕事する上において、私はどんどんフランス人が嫌いになってくる。
イタリア人も同様だが、彼らはまだそこに優しさがあるのだ。
フランス人は微塵も感じられない。

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「旅と心と体」カテゴリの記事

コメント

お疲れ様でした!
読みながら一体どうなるのかと、はらはらしていました。でも最後にほっとしました。こればかりは経験のない人には分らないと思います。健太の目、今なみだ目になってます、、うるうる、良かった(笑)!!

投稿: 健太 | 2006.01.13 14:33

健太さん、コメントありがとうございます。

そう、健太さんも先日苦労なさいましたもんね!
お客様の荷物には、やはりなんだかんだ「夢」が詰まっているのですよ。
こういうトラブル起きると、お客様の顔は本当に心配で一杯になりますからね。

「絶対に見つかりますから、心配しないで下さい。」
といっても、気休めにしかなりません。ましてや異国の地で紛失ですと余計にね。

いやあ、私もほっとしました。
お客様以上に密かに感動してたんで、ここに残すことにした次第です(笑)。

投稿: まりあ | 2006.01.13 17:38

こんにちは、気持ちよく晴れた青空が見える日曜日、青い空はいいですね。
まさにツアーの裏側という話でご苦労様でした。
>お客様の「夢」が詰まった荷物
誰にでも言えそうだけど、実はそう簡単には出てこない表現だと思います。本当のプロの添乗員ならではの表現と、ちょっと感動してしまいました。

投稿: | 2006.01.15 13:42

惑さん


照れるぜいっ!(^_^;)

投稿: まりあ | 2006.01.15 16:52

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