パラグアイvsトリニダードトバゴ
北緯10度、カリブ海に浮かぶ小さな島国の人口は僅か130万人。
なのに、このバス専用駐車場はこの赤い軍団で埋め尽くされている。
小さな街のメインストリートでもしかり。自前の大きなワールドカップレプリカを掲げ、まるで神輿を担ぐかのように、高く掲げながら会場へ向かう集団もいた。
そして山の上のスタジアムといったら…
スタンドは9割方、この赤い軍団で埋め尽くされ、旗が振られているのだ。
「トリィニダード・トバーゴゥ! トリィニダード・トバーゴゥ!」
独特のリズムで連呼する彼らに合わせて、次第に私も一緒に踊りたくなってくる。
余談だが、日本vsブラジル戦、会場入口にブラジルのユニフォーム(シャツのみ)を着せた女性のマネキン人形が、下半身露に逆さづりされていた。
おそらく犯人と同じ国の人間として、とても許せない、背筋が凍るような寒いものを感じた。
8年前のトゥールーズでの出来事といい今回といい、私は「サムライブルー」気どって全身青白くしたりサムライの格好してあちこちのカメラに収まろうと目論む人種を、信用してはいないし好きではない。
彼らは大枚叩いてお祭り騒ぎしに来ているに過ぎないし、結果如何では猛獣よろしく荒れ狂う。
同じ国の人間ながら、どうしても同じように応援する気にはなれないのだ。
こんな自分は何か変かな? と思っていたが、決してそうではないと確信できたのが、実はこのパラグアイvsトリニダードトバゴ戦だったのだ。
人口から考えたら、9割の赤い軍団が全員トリニダードトバゴ人だとは思わない。しかし彼らは皆、純粋に自分たちのサッカーを楽しみに来ているのがよくわかる。自国の応援模様がそれを物語る。
幾重にも続くウェーブの中Kick Off。
パラグアイ&トリニダード・トバゴのゲームはスピードがある。
パスはダイレクトで廻すのが基本。面白いようにボールが踊る。
流れるようなゲーム運びを見ながら、私は初めてサッカーを面白いと思った瞬間のことを思い出していた。
一つのボールを追って、グランド全体が大きく揺れ動く。手を使えない、という単純なハンディだけで、これほどリズミカルで大きいゲームを見たことがなかった。
浦和南高校vs静岡工業高校戦
たかが高校サッカーの決勝戦。されど、その試合こそが私を釘付けにした試合だったのだ。
おそらく現代のサッカーとは技術も戦術も格段に劣る内容だっただろう。
しかし私には、サッカーの魅力を余すことなく魅せてくれた試合だった。
その時の興奮を今再び思い出すことができた。
あの頃と比べて、日本のサッカーは大きく変わった。
一番変わったのは、レベルや技術云々よりも、周りが注目するようになったこと。
注目されるようになって、確かに施設や環境は素晴らしくよくなったが、浮かれて溺れるケースも少なくない。
正直今回ドイツで観戦した時、日本代表の姿が戦艦大和に乗り込む若き兵士達に重ね合わされて仕方なかった。戦う前からそんな悲壮感が漂ってしまったのだ。
マスコミの異様な持ち上げ方、そして宣伝効果を期待して必要以上に選手をCMに使おうとする企業、そしてサポーターのバカ騒ぎぶり。
今回の日本代表選手の周りには、あまりにも雑音が多くなかったか?
CM撮影や取材やら、サポーターへの応対やらで、我々は試合に臨む選手達への配慮があまりに欠けてはいなかったか?
私には、戦う前から結果が見えて仕方がなかった。
試合の前に既に疲労困憊し、プレッシャーに押し潰されてしまった選手の姿だけが印象に残っている。
トリノオリンピックも同じだったと思うけど、その教訓が全然生かされていないのは、周囲の環境そのものではないのか?
この日本では誰も注目していないパラグアイvsトリニダードトバゴ戦で、再び楽しいサッカーを見ることができた私の収穫は、とても大きかった。
もっと純粋にサッカーを楽しむことはできないのかな?
今のサポーターは、単なる足かせでしかない、とつくづく思う。
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コメント
おはようございます
もう、全面的に、まりあさんのご意見に賛同します。同感です。
あえて付け加えるなら、事情が許す限り、代表選手は早めに発表した方が良いのでは、と思いますね。ボーダーライン上の選手にとっては、選ばれた時点がモチベーションのピークになってしまう、と思うのですよ。直前まで選手の能力や状態が解からない、とは思えませんし。
それと、サポーターが選手を潰している、と私も強く感じています。
でもって、無断リンク、ごめんなさい!(^^♪
投稿: poohpapa | 2006.06.26 07:38
poohpapaさん、コメントありがとうございます。
ちょっと南の島へ留守してましたので、お返事遅れてごめんなさいm(__)m。
で、どこにリンクしたの??
投稿: まりあ | 2006.07.01 12:17