« 信州限定キティ | トップページ | まりあの家 »

マトリョーシカ

大きな出来事があったこの旅だった。

Pap_0034_1

バルト3国とサンクトペテルブルグを訪ねる旅、今回は自宅(参加者の)の近くから成田空港までの送迎バスがついた。
そのために私は前泊して午前4時にタクシーで向かったのだが…

バスが出発して3箇所目、スーツケースを持って1人で歩いてきた女性にご挨拶をして、
「バスへどうぞ。」
とスーツケースを預かり、バスへご案内した1分後だった。
バスの入口で、その女性は足元から崩れるように倒れ、意識を失ってしまったのだ。
特別叫び声をあげた訳でもなく、苦しそうには見えなかったのだが、仰向けに倒れたまま呼びかけにも応えず、呼吸もしていない。

数年前に一度受けた救命救急の講習を思い出しながら、人工呼吸を試みた。
しかし最初は微かに吹き返してくれたものの、次第にその反応もなくなってしまった。
間もなく救急車が到着し、担架に乗せられた。
心臓マッサージを行っているのだろう、救急車が激しく縦揺れしている。
そして数分後、救急車は走り去り、会社の指示で私達はそのまま出発した。

他の参加者には一切知らせないように、という指令の元、1時間後にその女性の訃報が知らされた。
お客様に動揺を与えないように、きわめて普通に旅を続けていったのだが、最期に言葉を交わし、肌の温もりや柔らかさを覚えてしまった私には、いいようのない虚脱感だけが残ってしまった。
所詮、素人だ…。
結局彼女の為に、何もしてあげられなかった…。
後悔の念が旅行中ずっと渦巻いていた。


サンクトペテルブルグで買ったマトリョーシカ人形。
開けると次々に人形が顔を出す。これは10個入りのもの。
1つ1つに願いを込めると叶う、という言い伝えまである。

一緒に行けなかった分、彼女に想い出を一緒にお届けしたい。

|

« 信州限定キティ | トップページ | まりあの家 »

「旅と心と体」カテゴリの記事

コメント

おはようございます

昨日、コメントしようかどうしようか、迷ってました。

添乗のお仕事を続けていらっしゃると、いろんなことが起きますよね。気になって、添乗どころではなかったでしょう。

せめて、このご婦人、旅行から帰国した時に発作が出てくれたなら、と思いますね。私も旅に出るたびに、帰りの飛行機なら堕ちてもよい、と思いますモン。

あまり苦しまないで死ねたことが救いかも知れません。まりあさんが一生懸命応急処置に努めてくれて、ご婦人も喜んでくれていると思いますよ。

投稿: poohpapa | 2006.09.18 10:18

出来ることを目いっぱいやってるまりあちゃんの姿が目に浮かびました、、。きっとまりあちゃんの努力は彼女に伝わったと思います!

投稿: 健太 | 2006.09.18 17:23

poohpapaさん
確かに、この仕事にはありとあらゆるトラブルがつきまといます。
でも「生死」に関係するトラブルは、正直ついらいですね。
お会いして1分後、まだ殆ど情が移ってなかった分、自分が取り乱す事はなかったのですが、でも温もりはなかなか消えませんよ。
「自分がしたこと、間違ってなかったか?」
そればかり考えてしまいましたが…
papaさんの言葉で救われる想いです。

健太さん
旅行を扱う仕事って、楽しいばかりじゃないですよね。でも夢はいつも他人に分けてあげないといけません。
時には仮面をかぶっていなくちゃいけない時もあります。
ピエロのような心境でしたが、彼女にはそれも伝わったでしょうか?
勝手な思い込みですが…
ご心配おかけしましたが、仕事を全うする事で、自分に元気を与えていたので、なんとか大丈夫です(^_-)-☆。

投稿: まりあ | 2006.09.18 19:17

何かが起きたときって、「本当にこれでよかったのか」「もっとほかにできたことがあったのでは」と思うものですよね。

でもきっとそのご婦人、天国から、まりあさんに感謝していると思いますよ。うん、本当に。

投稿: ぶーこ | 2006.09.20 07:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11005/11929578

この記事へのトラックバック一覧です: マトリョーシカ:

« 信州限定キティ | トップページ | まりあの家 »