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巡礼の道

Pa0_0004_2 ピレネー山脈から約800km。スペイン北部を横断して大西洋間近までを、この帆立貝をぶら下げてコツコツ歩き続ける人達がいる。
同じく帆立貝が街道沿いにも街の中にもあちこちに見られる。
歩き続ける人々は、この帆立貝を道標に800kmもの道中を、まるで神に導かれるように辿っていくのである。

Pa0_0005_2 終着点はサンティアゴ・デ・コンポステラ。

イエス・キリストの十二使徒の一人、聖ヤコブがエルサレムで殉教した後、弟子2人によって遺骸が海岸まで運ばれた。
弟子達が途方にくれていると、一隻の船が現れた。そして遺骸を乗せると船は静かに港を離れ、地中海~大西洋を進んで行き、7日目にとうとう河岸で停まった。
すると河岸の石が突然棺に変わり、聖ヤコブを包むと、星の導きにより再び運ばれて行った。

その地がサンティアゴ・デ・コンポステラ。
彼の遺骸は弟子と共にその地で深い眠りにつき、語り継がれ、いつしか伝説となった。

それから800年後、修道士ベラージョは星の導きによって、聖ヤコブの遺骸を発見することができた。
時はレコンキスタ(国土回復運動)の真最中。
アラブ勢力の支配下にあり、劣勢を極めていたキリスト教徒達の前に、突然白い馬に乗った聖ヤコブが現れ、イスラム教徒を次々と退治して行った後忽然と姿を消したという。

遺体発見のニュースと共にこの快挙。
アストリア国王アルフォンソは、すぐさまこの地に聖堂の建設を命じ、自らが第1号巡礼者としてサンティアゴに赴いたという。

『サンティアゴ』とは、スペイン語で『聖ヤコブ』の意味。
そして『コンポステラ』は『星の大地』とも『(偉大な)墓所』とも言われる。

全てがヤコブの為の街。
巡礼者の最終目的は、この街の聖堂。
荘厳な雰囲気の中心に、聖ヤコブが眠る。
巡礼者達は、聖ヤコブに対面することにより、自らの目標を達成するのである。

巡礼者の為に、毎日午後0時よりこの聖堂でミサが行われる。
聖堂のみならず、街全体を包み込むような荘厳なオルガンの音色は、巡礼者の労をねぎらう。

どこまでも純粋な巡礼だが、一つだけエピソードがある。

巡礼者の持ち物として、巡礼中は特別の巡礼杖がある。
それには瓢箪や頭陀袋が付いている。
そして帆立貝の道標により、路をひたすら進んで行く。
前述の帆立貝は、実は本来巡礼の目的達成時に得るはずのものだ。

一説には、巡礼杖は男性を、そして帆立貝は再生・誕生と共に『ヴィーナス』などの女性を表すものだとも言われる。
なんともセクシャルな意味合いを込めた話は、実はきわめて自然で人間らしい行為の表現ともいえる。

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コメント

この道中が全部世界遺産なんですってね。800km!と思って調べてみると旧東海道が493kmですからへぇという感じです。ちなみにちょっと似ている?四国88箇所は全部回ると1100kmになるんだそうですよ。で、ツアーではそこをバス?電車?飛行機?ホタテも場所によっては聖なる扱いにちょっとびっくりでした。

投稿: 惑@北の国 | 2007.06.30 23:20

惑さん、コメントありがとうございます。

800kmの道はスペイン内のみですので、フランスやポルトガル、その他からのルートを含めると、1本だけでも1500~1800kmはあるそうです。
ピレネー越えルートでフランス国内からだけでも4本はあるしね。

投稿: まりあ | 2007.07.14 13:40

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