サイゴン川
一周480mのデッキを5分で、一時間で12周が朝の日課だった。
朝暗い内から歩き始め、空に少しずつ色が入りだすとき、海が何色もの微妙な絵の具に染まる、その変化を眺めるのが楽しみだった。
朝陽が光を放つ瞬間を捉えた日は、一日中気分がいい。
この日は太陽が上った後、地平線に少しずつ変化が表れた。
船は幾重にも連なる島の間の一つを選んで入って行ったのだ。
東南アジアを縦断するメコン川がいくつもの支流に分かれて、壮大なメコンデルタを形成している。
その一つがサイゴン川。
これからこのサイゴン川を上ってホーチミンを目指す。
デルタは低い草木の生える湿地帯。川と陸地の区別が殆どつき難いはずなのに、7万トンの船はどうやって進んで行くのだろう?
おそらくかなり限られているだろう航路を、キャプテンは慎重に選んでいるに違いない。
船は右に左に、小刻みに向きを変えながら、約4時間かけてホーチミンの港に到着。
紅いアオザイをまとった少女達の歓迎の踊りが眩しかった。
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