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旅の空で

昨年末、同僚(といってはいけない大先輩だけど)がフィレンツェのホテルで急逝し、昨日はそのお別れ会だった。

朝食レストランの近くで、遠のく意識の中で、お客様に「レストランはこちらですよ」と、手を差し出していたそう。
二台口のもう一人の添乗員さんからお話を伺った。
幸いというか、彼が二台分のお客様をケアする事ができたので、ツアーは出発が多少遅れた程度で遂行されたが、意識が無くなり呼吸が薄れたSさんは、誰にも付き添われることなく、1人救急車で運ばれ、そのまま息を引き取ったらしい。

イタリアは丁度クリスマス休暇中、緊急対応はしてもらえたものの、身寄りも身元確認もままならない状況では、診断書や司法解剖もしてもらえず、荼毘に付され(イタリアでよく火葬できたのも驚き)たため、保険も降りないとか…。

今年高校・大学ダブル受験を控えているというご子息達の気持ちは、もちろん奥様の気持ちはいかばかりか…
心が痛む。

同じ会社といえども、仕事柄殆ど会う機会はなく、派遣先の打合せで何度か言葉を交わしただけだったけど、明るくて頼りがいのあったSさんはとても印象深く、きっと私のことご存知なかっただろうなあと思いつつも、足を運ばずにはいられなかった。

添乗員ってとても不安定な職業。そして死後も何も補償がない。

旅の空で客死なんてカッコよく聞こえるけど、そんな甘いもんじゃない。
「闘病しながらいたずらに命乞いするよりは、パッと死にたい」
なんて口にしていた自分を恥じた。

旅の空では、それでなくとも危険がそこかしこに潜んでいる。
言い換えれば、いつ死んでもおかしくない状況に私はいる。
いつ死んでもいいように、もっときちんと毎日を生きておかなくちゃいけないと思うこの頃です。

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