テロに対峙する覚悟/ごまめのつぶやき
ごまめさんの記事を拝読し、自分の心の中でも何か書かずにいられない、支離滅裂になるかもしれないけど、とにかく書き留めておきたい、そんな気持ちで書いています。
私は旅行業界という、平和でなければ成り立たない中で仕事をしている。時にノー天気なお気楽な仕事と思われているかもしれないけど。
しかしイスラエルの紛争激化を直接経験し、9.11のテロを契機に揺れる世界の中で、様々な危機を肌で実感しながら仕事を続けてきて、「平和」であることの重みを常に実感せずにいられない。日本だけの平和でなく、世界全体の平和をである。
私は幸運にも9.11の時はアメリカではなくイタリアにいたため難を免れる事ができたが、第一報を聞いた時の、レストランに居合わせたアメリカ人団体客の姿が目に焼きついて離れない。テロの後、全米の空港が閉鎖されたため、地獄絵巻をTV画面で目の当たりにしながらも、家族の安否を知る術もなく帰国する事ができなくなってしまった彼ら。
そんな彼らにローマ市長は、総てのホテルに「ローマを第二の故郷だと思って、帰国できるようになるまでの間、ゆっくり過ごしてください」とメッセージを送り、総てのアメリカ人に宿泊を提供したのである。イタリアの懐の深さを実感せずにいられなかった瞬間だった。
テロの後、ウサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダの犯行であることをすぐさま公表したイタリアであったが、御歳80歳を超えるローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、ひたすら平和的解決を訴え続けてきた。ブッシュがアフガニスタンを敵国と決め東奔西走していた間も、である。法王は報復がいかに愚かで無意味な行動であるか、ひたすら説き続けていたのだが…
アメリカ軍の空爆が始まる直前にも、私はイタリアにいた。
帰国便は、アブダビ経由。アメリカ軍のキャンプ基地から空爆に向かうコースを丁度クロスする形での飛行ルートだった。いつ始まってもおかしくない状況の中飛ばなくてはならない、そんな状況でできる限りの情報を得、お客様の不安を少しでも取り除けるように努め、なんとか無事予定通り帰国した。そして数時間後に空爆が始まった。
私はまだ運が良い方だ。
テロの当時、アメリカ・カナダにいた仕事仲間達は、混乱の中いつ帰国できるかわからない状況で、帰国便の席を求めて孤軍奮闘を強いられた者が多い。
テロやイラク戦争に限らず異国に赴くと、各々の国の立場や姿勢、そして世界で今何が1番重要なのかが本当によくわかる。海外在住の方はもっとよく気づいているかもしれない。日本のメディアから流れる情報が、如何に偏り操作された貧困なものかを。
世界で今1番苦しんでいる国民のために、私達に何ができるだろう?
その観点での自衛隊派遣には、私は賛成であった。しかし小泉首相は方法を誤った。「アメリカの為に」という言葉が加わってしまったばかりに、アルカイダは日本を標的にしているのである。
自衛隊の方々のせっかくの努力、身を挺しての貢献は、アルカイダには何ら評価されていないことになる。
あまりに虚しいではないか。小泉首相の言葉一つで、努力の総てが、そして一般国民の命が無駄になる可能性が高くなる一方ではないか。
マドリードの爆弾テロは、国民にアルカイダに屈する道を選択させてしまった…
スペインへ行くと、アメリカとの関係が歴史的にどれほど深いかがよくわかる。しかし現在スペインの国民は、アメリカとの友好よりも自らの平和を選んだのだ。
スペイン国民の選択が必ずしも正しいとは思わないけれども、少なくともアメリカの言いなりになるのではなく、自分の国の姿勢を自らの意思をもって表す事の大切さを示してくれたのではないだろうか?
私たちは自分達の意思で、平和の為に声を出し動いて行くことの大切さを世界に向けて発信していかなければいけない。ここにアメリカの意思は決して介入させてはならない。
次なるテロの脅威に立ち向かうために、今1番必要なことではないだろうか?
今まさにローマ法王の言葉が生きてくる気がしてならないこの頃である。
最近のコメント